さてさて問題の月曜日です。 校門を入ると馬宮たちがまたまた大騒ぎをしてます。
「いつも飽きねえなあ。 お前ら、、、。」 勉も呆れ顔。
「お澄ましのお坊ちゃんとは違うからねえ。 ヒャッハー!」 「アホか。」
「アホでも何でもいいんだもーん。」 「ほらほら、そこ危ないってば。」
「え? うわーーーーー!」 「言わんこっちゃねえ。」
側溝に嵌ってひっくり返ってる馬宮を指差してつかさは大声で笑ってる。 そこへ養護教諭がすっ飛んできた。
「まあまあ、また飛び込んだのね? しょうがないんだから。」 慣れた手付きで馬宮を引き起こしズボンの埃を払っている。
「また?」 「そうよ。 ここは前にも何人か飛び込んでるの。 ケガした人は居ないけど危ないのよねえ。」
勉たちは馬宮を残して教室へ駆けていく。 ぼくも後からバタバタと、、、。
教室に入ると後ろから折原さんも歩いてきた。 「健太君 おはよう。」
「ああ、おはよう。」 「土曜日はどうだった?」
「久しぶりだったから楽しかったよ。」 「そっか。 あたしも思い切り遊んじゃった。」
入学式の日、隣で見ていた折原さんは「私ね、あなたたちとは違う世界に住んでるから話し掛けないでね。」って言ってるような顔だったのに話してみると意外にもお喋りなんだなあ。
そこへ始業のベルが鳴った。 1時間目は数学だ。
(いきなり数学からかよ。) 何とも複雑な顔をしていると隣では、、、。
「私、数学って大の苦手なのよね、、、。」って呟く声が、、、。
「では今日から授業を始めます。 教科書の3ページを開いてください。」 授業が始まった。
さっきまであんなに騒いでいたのに水を撃ったようにシーンと静まり返っている。 つかさなんかは今にも発狂しそうな顔で教科書を睨んでいる。
(勉はどうだろう?) 前のほうを見るとこちらはこちらで真剣な顔をしている。
方程式だとか何だとか言っても所詮教科書の中の話だ。 現実社会の中では何処まで有用なんだろう?
このクラスも例に漏れなく進学組は10人ほど。 そいつらにとっては大事な大事な数学だ。
xだとかyだとか言っても何が何やら珍紛漢紛だよ。 早く終らないかなあ?
そう思いながらよそ見をしていると、、、。 「灰原君 1番の方程式を解いてみてください。」って声が聞こえた。
見ると二次方程式だ。 「、、、、、、、、、、、、、。」
真っ白になった頭を抱えていると先生は勉を指名したらしい。 ホッとして隣を見たら折原さんが居眠りをしていた。
そっとシャーペンで頬っぺたを突いてみる。 「う、、、。」
小さな声を出して目を覚ました折原さんは辺りを見回してから教科書に目を落とした。 前のほうでは勉が方程式を解いている。
(なかなかにやるもんだな。) 感心していると授業が終わってしまった。
30人学級の最後列。 ぼくも折原さんも居眠りしそうになりながら必死の状態。
つかさはぼくがあげた大学ノートを開いて少しでも授業に真面目?な格好をしている。 「これ欲しかったのよ。 ありがとね。」
ノートを渡した時、まるでラブレターを渡されたような顔をしてノートを見てたっけなあ。 「彩葉は元気だった?」
「もちろんだよ。 今度さあつかさと話したいんだって。」 「そうだよねえ。 こないだ電話では話したんだけど会いに行かなきゃね。」
「昼間がダメだったら夜に何人かで集まって食事会でもやらないか?」 「そうだね。 勉とも会いたいだろうし。」
「ねえねえ、折原さんも誘おうよ。」 「私?」
「そうだよ。 せっかくのクラスメートなんだからさあ。」 食事会の話が盛り上がってきた。
「もちろん馬宮君たちは来ちゃダメよ。」 「何でさあ?」
「お前、まだ分かってないのか?」 「分かるわけ無いよねえ? 馬宮君。」
「俺は忙しいから無理だよ。」 「だから最初から誘ってねえだろうが。」
高校生の今でもこのクラスはこうなんだ。 進化してないなあ。
さてさて数学 国語 社会 音楽と続いて昼休みになりました。 みんなはそれぞれに弁当を広げてますねえ。
勉は相変わらずのドカベンです。 それを見付けた折原さんは、、、?
「ねえねえ、勉君ってさあ大きいよね?」 小声でぼくに聞いてきた。
「このクラスじゃさあドカベン ガリベン サボリベンってのが通例なんだよ。」 「何それ?」
「ドカベンってのは弁当がでかいやつ、ガリベンってのは勉強のことしか考えてないやつ、サボリベンってのは馬宮みたいなやつ。」 「ふーん。 面白い。」
「健太も面白いことを言うんだなあ。」 勉が感心したようにぼくのほうを向いた。
「そりゃあ、このクラスをずっと見てれば分かってくるよ。」 「それもそうだな。」
馬宮たちは相変わらずで大騒ぎをしている。 「たまには静かに出来ねえのか?」
「俺が静かにしたらこの世が終わるわ。」 「バカみたい。 あんたが静かになったらみんなが喜ぶわよ。」
「一本!」 「うるせえ連中だなあ。」
「いいの。 これが俺たちなんだから。」 「このまま3年も一緒に居るわけ?」
「まあねえ留年したいやつはすればいいじゃない。」 「それは嫌だあ。」
「お前と居るほうがもっと嫌だよ。」 こうして騒ぎの中で昼休みは終わるのです。
弁当を食べ終わった折原さんは本を取り出して読み始めました。 馬宮たちはお構いなしに騒いでますねえ。
ぼくも一緒に本を開いてみた。 この間、折原さんに借りたやつ。
(読んでおかないと彩葉にいろいろ聞かれるからな。) でもうるさいなあ、、、。
そのうちに馬宮たちは廊下へ出ていった。 つかさはスマホを覗いている。
勉は窓にもたれて何かを考えている最中らしい。 教室が静かになったもんだから折原さんは辺りをキョロキョロと見まわした。
「静かになったね。」 「そりゃそうだよ。 うるさいのがみんなどっかへ行っちゃったんだから。」
「そういえばさ、彩葉ちゃんってどんな子なの?」 「そうだなあ、クラスじゃあ一番おとなしい子だったな。」
「それで今はどうしてるの?」 「通信制で勉強してる。」
「どっか悪いの?」 「太陽アレルギーなんだよ。」
「何それ?」 「太陽アレルギーってのは太陽の光を浴びたら皮膚が荒れてしまう厄介な病気だよ。」
「そんな病気が有るの? じゃあ昼間は歩き回れないじゃない。」 「そうなんだ。 だから家に居て通信制で勉強してるんだよ。」
彩葉のことになると勉も黙ってはいられないらしい。 「そっか。 可哀そうな子だね。」
「俺たちもさ、本当なら彩葉と一緒に高校生になりたかった。 でもなれなかった。」 「それでもあたしらは友達だよ。」
「そうだ。 騒いでたあいつらは別にしてぼくらはずっと友達なんだよ。」 「騒いでたあいつらって?」
「馬宮たちさ。」 「馬宮君たちがどうかしたの?」
「あいつらはいつも彩葉を虐めてたんだ。」 「ひどいなあ。」
「いつかさあ、みんなで食事をしようと思ってるんだ。 久しぶりに集まって。」 「私も会いたい。」
「だね。 じゃあ俺がみんなをまとめるよ。」 「よろしくね。 勉。」
話がまとまった頃、昼休み終了のチャイムが鳴った。 「さあ掃除だぜ。」
勉はそう言うとモップを持ち出して床を拭き始めた。 「私まで拭かないでね。」
「馬宮じゃねえんだからそんなことはしねえよ。」 そこへ騒ぎの張本人 馬宮が帰ってきた。
「やあやあ皆さん お元気ですか?」 「見たら分かるだろう ボケ。」
「ボケとはひどいなあ。」 「じゃあ何なんだよ?」
「お坊ちゃん。」 「お前がか? お前がお坊ちゃんだったらみんなお坊ちゃんだわ。」
「ホームラン!」 「クレーンゲームかなんかじゃないっての。」
「クレーンゲームでもこんな変なのは無いだろう。 エッチガチャでいいんじゃねえの?」 「エッチガチャ?」
みんながそれに振り向いた。 「うわ、罰悪そう。」
「しょうもねえこと言ってないで掃除くらいしろよ。」 「そうだそうだ。」
「囃してるお前が一番やってねえじゃねえか。」 いつもいつもこうなんだよなあ、このクラス。
「いつも飽きねえなあ。 お前ら、、、。」 勉も呆れ顔。
「お澄ましのお坊ちゃんとは違うからねえ。 ヒャッハー!」 「アホか。」
「アホでも何でもいいんだもーん。」 「ほらほら、そこ危ないってば。」
「え? うわーーーーー!」 「言わんこっちゃねえ。」
側溝に嵌ってひっくり返ってる馬宮を指差してつかさは大声で笑ってる。 そこへ養護教諭がすっ飛んできた。
「まあまあ、また飛び込んだのね? しょうがないんだから。」 慣れた手付きで馬宮を引き起こしズボンの埃を払っている。
「また?」 「そうよ。 ここは前にも何人か飛び込んでるの。 ケガした人は居ないけど危ないのよねえ。」
勉たちは馬宮を残して教室へ駆けていく。 ぼくも後からバタバタと、、、。
教室に入ると後ろから折原さんも歩いてきた。 「健太君 おはよう。」
「ああ、おはよう。」 「土曜日はどうだった?」
「久しぶりだったから楽しかったよ。」 「そっか。 あたしも思い切り遊んじゃった。」
入学式の日、隣で見ていた折原さんは「私ね、あなたたちとは違う世界に住んでるから話し掛けないでね。」って言ってるような顔だったのに話してみると意外にもお喋りなんだなあ。
そこへ始業のベルが鳴った。 1時間目は数学だ。
(いきなり数学からかよ。) 何とも複雑な顔をしていると隣では、、、。
「私、数学って大の苦手なのよね、、、。」って呟く声が、、、。
「では今日から授業を始めます。 教科書の3ページを開いてください。」 授業が始まった。
さっきまであんなに騒いでいたのに水を撃ったようにシーンと静まり返っている。 つかさなんかは今にも発狂しそうな顔で教科書を睨んでいる。
(勉はどうだろう?) 前のほうを見るとこちらはこちらで真剣な顔をしている。
方程式だとか何だとか言っても所詮教科書の中の話だ。 現実社会の中では何処まで有用なんだろう?
このクラスも例に漏れなく進学組は10人ほど。 そいつらにとっては大事な大事な数学だ。
xだとかyだとか言っても何が何やら珍紛漢紛だよ。 早く終らないかなあ?
そう思いながらよそ見をしていると、、、。 「灰原君 1番の方程式を解いてみてください。」って声が聞こえた。
見ると二次方程式だ。 「、、、、、、、、、、、、、。」
真っ白になった頭を抱えていると先生は勉を指名したらしい。 ホッとして隣を見たら折原さんが居眠りをしていた。
そっとシャーペンで頬っぺたを突いてみる。 「う、、、。」
小さな声を出して目を覚ました折原さんは辺りを見回してから教科書に目を落とした。 前のほうでは勉が方程式を解いている。
(なかなかにやるもんだな。) 感心していると授業が終わってしまった。
30人学級の最後列。 ぼくも折原さんも居眠りしそうになりながら必死の状態。
つかさはぼくがあげた大学ノートを開いて少しでも授業に真面目?な格好をしている。 「これ欲しかったのよ。 ありがとね。」
ノートを渡した時、まるでラブレターを渡されたような顔をしてノートを見てたっけなあ。 「彩葉は元気だった?」
「もちろんだよ。 今度さあつかさと話したいんだって。」 「そうだよねえ。 こないだ電話では話したんだけど会いに行かなきゃね。」
「昼間がダメだったら夜に何人かで集まって食事会でもやらないか?」 「そうだね。 勉とも会いたいだろうし。」
「ねえねえ、折原さんも誘おうよ。」 「私?」
「そうだよ。 せっかくのクラスメートなんだからさあ。」 食事会の話が盛り上がってきた。
「もちろん馬宮君たちは来ちゃダメよ。」 「何でさあ?」
「お前、まだ分かってないのか?」 「分かるわけ無いよねえ? 馬宮君。」
「俺は忙しいから無理だよ。」 「だから最初から誘ってねえだろうが。」
高校生の今でもこのクラスはこうなんだ。 進化してないなあ。
さてさて数学 国語 社会 音楽と続いて昼休みになりました。 みんなはそれぞれに弁当を広げてますねえ。
勉は相変わらずのドカベンです。 それを見付けた折原さんは、、、?
「ねえねえ、勉君ってさあ大きいよね?」 小声でぼくに聞いてきた。
「このクラスじゃさあドカベン ガリベン サボリベンってのが通例なんだよ。」 「何それ?」
「ドカベンってのは弁当がでかいやつ、ガリベンってのは勉強のことしか考えてないやつ、サボリベンってのは馬宮みたいなやつ。」 「ふーん。 面白い。」
「健太も面白いことを言うんだなあ。」 勉が感心したようにぼくのほうを向いた。
「そりゃあ、このクラスをずっと見てれば分かってくるよ。」 「それもそうだな。」
馬宮たちは相変わらずで大騒ぎをしている。 「たまには静かに出来ねえのか?」
「俺が静かにしたらこの世が終わるわ。」 「バカみたい。 あんたが静かになったらみんなが喜ぶわよ。」
「一本!」 「うるせえ連中だなあ。」
「いいの。 これが俺たちなんだから。」 「このまま3年も一緒に居るわけ?」
「まあねえ留年したいやつはすればいいじゃない。」 「それは嫌だあ。」
「お前と居るほうがもっと嫌だよ。」 こうして騒ぎの中で昼休みは終わるのです。
弁当を食べ終わった折原さんは本を取り出して読み始めました。 馬宮たちはお構いなしに騒いでますねえ。
ぼくも一緒に本を開いてみた。 この間、折原さんに借りたやつ。
(読んでおかないと彩葉にいろいろ聞かれるからな。) でもうるさいなあ、、、。
そのうちに馬宮たちは廊下へ出ていった。 つかさはスマホを覗いている。
勉は窓にもたれて何かを考えている最中らしい。 教室が静かになったもんだから折原さんは辺りをキョロキョロと見まわした。
「静かになったね。」 「そりゃそうだよ。 うるさいのがみんなどっかへ行っちゃったんだから。」
「そういえばさ、彩葉ちゃんってどんな子なの?」 「そうだなあ、クラスじゃあ一番おとなしい子だったな。」
「それで今はどうしてるの?」 「通信制で勉強してる。」
「どっか悪いの?」 「太陽アレルギーなんだよ。」
「何それ?」 「太陽アレルギーってのは太陽の光を浴びたら皮膚が荒れてしまう厄介な病気だよ。」
「そんな病気が有るの? じゃあ昼間は歩き回れないじゃない。」 「そうなんだ。 だから家に居て通信制で勉強してるんだよ。」
彩葉のことになると勉も黙ってはいられないらしい。 「そっか。 可哀そうな子だね。」
「俺たちもさ、本当なら彩葉と一緒に高校生になりたかった。 でもなれなかった。」 「それでもあたしらは友達だよ。」
「そうだ。 騒いでたあいつらは別にしてぼくらはずっと友達なんだよ。」 「騒いでたあいつらって?」
「馬宮たちさ。」 「馬宮君たちがどうかしたの?」
「あいつらはいつも彩葉を虐めてたんだ。」 「ひどいなあ。」
「いつかさあ、みんなで食事をしようと思ってるんだ。 久しぶりに集まって。」 「私も会いたい。」
「だね。 じゃあ俺がみんなをまとめるよ。」 「よろしくね。 勉。」
話がまとまった頃、昼休み終了のチャイムが鳴った。 「さあ掃除だぜ。」
勉はそう言うとモップを持ち出して床を拭き始めた。 「私まで拭かないでね。」
「馬宮じゃねえんだからそんなことはしねえよ。」 そこへ騒ぎの張本人 馬宮が帰ってきた。
「やあやあ皆さん お元気ですか?」 「見たら分かるだろう ボケ。」
「ボケとはひどいなあ。」 「じゃあ何なんだよ?」
「お坊ちゃん。」 「お前がか? お前がお坊ちゃんだったらみんなお坊ちゃんだわ。」
「ホームラン!」 「クレーンゲームかなんかじゃないっての。」
「クレーンゲームでもこんな変なのは無いだろう。 エッチガチャでいいんじゃねえの?」 「エッチガチャ?」
みんながそれに振り向いた。 「うわ、罰悪そう。」
「しょうもねえこと言ってないで掃除くらいしろよ。」 「そうだそうだ。」
「囃してるお前が一番やってねえじゃねえか。」 いつもいつもこうなんだよなあ、このクラス。



