「お待たせ」
しばらく真由さんと話してたら
海斗たちが戻ってきた
「えっ」
目を逸らしてしまった
海斗がいつもの服じゃない
青いガウンに青い帽子をかぶってる。
「こっちこないで」
「俺だから。大丈夫。
すず、こっち向いて」
「嫌」
「手術中だけこの格好ゆるして。
今日だけ、今だけだから。」
真「ルートは先生がいいってことなんでとってません。」
「了解、ありがとう」
「すず、今から痛み止めの注射したり点滴でお薬入れたりする。それが終わればもう痛くない。真由と話しててもいいし寝ててもいいからあと少し頑張って」
「海斗のその格好いやだ」
もう医者じゃん。
医者の格好でしかない。
「嫌なら目瞑ってて。
声だけだと完全に俺だろ。」
もう手足は動かないし
海斗はいつもの海斗じゃないし
震えが止まらない
「始めるよ」
それから海斗と翔太くんは
なんか話しながら進めている
真由さんは私の左手を握りながら
どうでもいい話をひたすらしてくれる。
「すず、痛くない?吐き気とか大丈夫?」
たまに優しい声で海斗が聞いてくれる
「...うん。まだ終わらない?」
「あと少しだな」
それからうとうとしてたら
あっという間に終わってた
「すず、まじよく頑張った。
天才だ。あとでいっぱいほめてやる」
気づいたら手術が終わってて
海斗が普段の服になってた。
真由さんも翔太くんもいなかった
「終わった...?」
「おう」
最初の麻酔の注射以外、本当に痛くない。
案外余裕...なのはここまでだった



