私の担当医。~2~




「お待たせ」

しばらく真由さんと話してたら
海斗たちが戻ってきた


「えっ」

目を逸らしてしまった
海斗がいつもの服じゃない

青いガウンに青い帽子をかぶってる。

「こっちこないで」

「俺だから。大丈夫。
すず、こっち向いて」

「嫌」

「手術中だけこの格好ゆるして。
今日だけ、今だけだから。」


真「ルートは先生がいいってことなんでとってません。」

「了解、ありがとう」

「すず、今から痛み止めの注射したり点滴でお薬入れたりする。それが終わればもう痛くない。真由と話しててもいいし寝ててもいいからあと少し頑張って」

「海斗のその格好いやだ」

もう医者じゃん。
医者の格好でしかない。


「嫌なら目瞑ってて。
声だけだと完全に俺だろ。」


もう手足は動かないし
海斗はいつもの海斗じゃないし
震えが止まらない

「始めるよ」

それから海斗と翔太くんは
なんか話しながら進めている

真由さんは私の左手を握りながら
どうでもいい話をひたすらしてくれる。

「すず、痛くない?吐き気とか大丈夫?」

たまに優しい声で海斗が聞いてくれる

「...うん。まだ終わらない?」

「あと少しだな」

それからうとうとしてたら
あっという間に終わってた

「すず、まじよく頑張った。
天才だ。あとでいっぱいほめてやる」

気づいたら手術が終わってて
海斗が普段の服になってた。
真由さんも翔太くんもいなかった

「終わった...?」

「おう」

最初の麻酔の注射以外、本当に痛くない。
案外余裕...なのはここまでだった