「ただいま」

海斗が部屋に戻ってきた

「おかえり」

「寿司いくか」

「...うん」

スクラブ姿からいつもの私服の海斗になった。やっぱお医者さんじゃない海斗が好き


「おまたせ、行こうか」

海斗の車に乗って予定通りいつものお寿司屋さんに着いた。

「いらっしゃい!いつもの席どうぞ」

私たちの定位置のカウンターが空いていた

「ありがとう、大将」

今日も繁盛している。

大将のお寿司は最高なんだもん

「大将、今日のおすすめのセットをください」

「大将、俺も」

「はい、今すぐ」

しばらくしたら
10貫のセットがきてめいいっぱい食べた

「やっぱりここのお寿司は最高だね」

「すずの大好物だからな」

「うん!おいしい」

「それより、なんか話あるから俺を寿司に誘ったんじゃねぇの?」

あっ、そうだった。

忘れてた...


「あの...ね
私、色々しらべたの。
同じ病気の人の妊娠や出産についてとか
リスクとか。でもいい話はひとつもない」

海斗は何も言わずに私の顔を見ながら
話を聞いている。

「でも赤ちゃんを諦めたくない気持ちがやっぱり強くて...
海斗は私がママになれると思う?
こんな弱いママでもこの子は幸せになれると思う?」

「すずは強くなった。
こんな赤ちゃんのこと真剣に考えてくれるママ、いいママになるに決まってる。」

「...本当?」

「うん」

満面の笑みで笑いかけて
私の手を握ってくれた

「明日、産科に行って話するよ...」

「よし、俺も時間作る。
一緒に凌のところ行こう。
凌にも連絡しておくから」

「うん」

「すず、本当に強くなったよ。
自分で調べて考えて答えを出す。
そんなことまでできるようになったのか。
感動だ。」

海斗は否定をしなかった。
すずには無理
そう言われると思っていた。

けど真剣に話を聞いてくれて
ちゃんと私と向き合ってくれた。

ここ数日、避けてたのに。
赤ちゃんの話も病気の話も。

きっと私が覚悟を決めるのを待っててくれたんだろう

美味しいお寿司を食べて
幸せいっぱいで部屋に戻ってすぐに眠った...