心臓が早鐘を打ち始めて、すぐに呼吸が荒くなってくる。
私は何度も深呼吸を繰り返して、どうにか呼吸を鎮めることしかできない。


「わからない。今からそれを調べるんだ」


圭太のスマホにも両親から心配するメールが届いているようで、眉間にシワが寄っている。
両親へ電話を折り返す前に圭太は今街でなにが起こっているのかを調べ始めた。
今朝ニュース番組で見たときにはほとんど何の情報も得られなかったけれど、今この街の名前で検索すると、ウイルスに関する情報が1万件以上がヒットした。
その中で信憑性があるものがどれだけ存在しているのかわからないけれど、とにかく調べることはできそうだ。


「ネットの拡散力だな」


圭太は妙なところで関心ながら一番上に表示されたネットニュースをタップする。
全国的に有名な新聞社が作っているオンライン記事を読み勧めていくと、すぐにこの街に関する情報に行き当たった。


「マジかよ」


軽く記事に目を通しただけの圭太が重たい声を漏らす。


「どうしたの?」

「ウイルスが外へ出ないように、街が隔離されたって書いてある」


そのニュース記事には、街の大通りを封鎖している自衛隊の写真も乗せられていた。
全員がガスマスクをつけている。