そのニュース番組ではドローンを操縦してどこか森の中の建物を撮影しているようだった。
その様子は昔撮影されたもののようで、まだどこの局も放送していない内容らしかった。


『これは3年前に当局で放送した研究所の様子です。この街では森の中にウイルス研究所があり、今回の出来事に大きく関与してるのではないかと憶測が飛んでいます』


スタジオにいる男性キャスターが深刻そうな表情で告げる。
しかしそれに対してただの憶測を話すわけにはいかないと、専門家らしき人物が反論する。
どうやらネット上の一部でで流れている都市伝説的な噂話を取り上げただけのようだ。

だけど私はそのニュース番組に釘付けになってしまっていた。
知らない間に身を乗り出して聞き入っている。


「どうした? なにかあったのか?」


直が不思議そうな表情で尋ねてきたので、私は圭太へ視線を向けた。
圭太は父親と同じ職場で働くことを決めていた。
それに伴って進学する大学も決めて、勉強も進めていた。


そしてその就職先は……「ウイルス研究所って、圭太のお父さんの職場だよね?」


私の問いかけに圭太が目を見開いた。