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ベッドに横たわっている少女の頬に手を当てると肌はとても冷たくて、それなのにどこかぬくもりを感じるものだった。
少女の口角は微かに上がっていて、悲しい末路をたどった者の死に方だとはとても思えない。


「私も、あなたみたいになれるかな」


震える声で呟いていた。
生きることにしがみついて周りをまき込み続けるよりは、ここで潔く自害した方がいいんじゃないか。
そんなふうに気持ちが切り替わっていた。

死んでしまえばもう会えない人もいる。
けれど、死んでいった沢山の仲間たちとは会えるようになるのだ。
そう考えると頬に涙が落ちていく。

私は生き続けている方が幸せなのか、このまま死んだ方が幸せなのか、もはやわからない。
この地獄のような街から解放されるのなら、そちらを選ぶべきだと思う。

少女から身を離して室内を見回してみると、ベッドの下にロープが落ちていることに気がついた。
緊急避難用の縄梯子だ。
それを見た瞬間、決意が固まっていた。