丁寧に書かれたそれは見間違いようもなく遺書だった。
ゾクリと全身に寒気が走る。


「圭太、これ」


スマホ画面を見せると圭太の顔色が変わった。
地下室の食料を残したままいなくなった家族がどうなったのか、それは2階の彼女の部屋に行けばわかる。


「この子、見つけて欲しがってるんだよ」


私は早口にそう言うとリビングを出て二階へと続く階段を駆け上がり始めた。
あの遺書がいつ書かれたものかちゃんと見ていないからわからない。
だけど、少しでも早く発見されたいはずだ。

2階の部屋は4部屋あったが、すぐに彼女の部屋を見つけることができた。
ドアにかけられたプレートに《優美》と書かれている。
写真の少女を思いだしながら私はそのドアに手をかけた。

内開きのドアを開いてみると、そこには女の子らしい部屋が広がっていた。
部屋の奥ある出窓には沢山のぬいぐるみが並び、中央にあるシングルベッドにはピンク色のカバーがかけられている。
そのベッドの上に、3人の人間が横たわっていた。

手前側に女性が、奥側に男性が、そして挟まれるようにして制服姿の少女が眠っている。