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地下室から出てきた私達は1度リビングへ戻ってきていた。
2階はまだ調べて居なかったけれど、圭太の気分が悪くなったのが原因だった。
それは自分のせいだと理解していた私は進んでリビングの中を調べ始めた。

大雑把な調べ物はしていたけれど、引き出しの中などはまだ見ていなかったからだ。


「スマホがあったよ!」


リビングの戸棚を上から順番に開けて行くと、一番下の広い引き出しに白いスマホが入っていることに気がついた。
スマホの透明カバーの下には女子高校生と見られる女の子のプリクラが挟んである。
隣町の高校の制服姿だ。


「この家、同年代の子がいるんだ」


呟いて画面をタップしてみると、すぐに画面が開いてしまった。
どうやらパスワード設定などをしていなかったみたいだ。

今どき珍しいな。
そう思ったときだった。
画面にはスマホのメモ帳機能が表示されたままになっていて、そこに残された文章に目を奪われる。


『家族全員感染してしまいました。お父さんとお母さんは食料として見知らぬ人を誘拐してきます。私も人を食べました。でも、もう無理です。このまま人を食べて生き続けることなんてできない。とても苦しくて辛いのに、空腹感だけは増えていく。そんなの耐えられない。これを見つけた人へ。私は今から両親を殺して、自分も死ぬつもりです。私は2階にいます。どうか見つけてください』