自分をバカにしていた連中も殺した。
それは感染していなくても殺したという意味じゃないだろうか?
もしそうだとしたら男子生徒のしていることは正当防衛ではなく、本当にただの殺人だ。
本人もその自覚があるのかもしれない。


「狂ってる……!」

「狂ってる? 僕が?」


ゆらりと、包丁の先がこちらへ向けられる。


「僕が狂っているとすれば、僕を狂わせたのはこの学校だ。僕をイジメていた連中、見て見ぬ振りをしていた連中、知らなかった連中、全員が僕をこうさせたんだ!」


唾を吐いてわめき散らす。
彼の言っていることすべてを否定するつもりはない。

彼が狂ってしまうくらいひどいイジメが行われていたことは事実だろう。
けれど、それは大量殺戮の理由にはならない。
私の歯の根は噛み合わなくなり、カチカチと音がなり始める。

懸命に震えを抑えようとしてもできなかった。


「ふふふっ。もっと怖がって見せてよ。人を怖がらせることって、こぉんなに楽しいことだったんだね?」