「これがあるから大丈夫。薫が勇気を出して取ってきてくれたバッドだ」


そう言って微笑んでみせる圭太に、私も同じようにバッドを握りしめて立ち上がった。
感染者が圭太を襲っても、非感染者が身を守るために私を襲ってきても、これがあれば大丈夫。

なんとなく、そんな気持ちにさせられた。
それから2人で教室を出て近くの部屋から探し始めた。
女子トイレに男子トイレ。

それに、2階にある2年生の教室を探して回る。
2階は比較てき綺麗な場所が多かったけれど、教室内はさすがに血の海ができていた。

感染者に食べられて骨しか残っていない生徒。
逆に非感染者に襲われて死んでいった生徒。

それらに混ざって先生の姿もあちこちに見られた。
綺麗に食べられてしまった死体はいいけれど、なぶり殺された感染者の死体を見る圭太はつらそうだった。

顔が潰れていたり、体中殴られて骨が折れていたり。
見るも無残な姿ばかりだ。