あれだけ生徒がいたはずなのに、今はどこからも音が聞こえてこない。
スマホを確認してみるけれど、麻子からの返事も来ていなかった。
不安が胸に膨らんでいく。

麻子は1人きりでいるみたいだし、もしかしたらもう……。
血を流して倒れている麻子と、麻子の死体に群がる感染者たちの姿を想像してしまって、慌てて左右に首をふってその想像をかき消した。
変なことを考えてはいけない。

それが現実になってしまったら、きっと発狂してしまうから。


「心配か?」


麻子とのメッセージ画面を開いたままギュッとスマホを握りしめていたから、圭太が感づいたみたいだ。


「うん……」


ユカリとはもう全く連絡がつかなくなっている。
残っている友達は麻子だけだ。


「探しに行ってみるか」


質問しながらも圭太はすぐに立ち上がってバッドを握りしめた。


「でも、危ないんじゃない?」