麻子のふんわりとしたマシュマロみたいな雰囲気に包み込まれそうになったとき、窓辺に圭太が走り寄ってきた。


「なぁ、今日って自衛隊のイベントとかあったっけ?」

「今日って平日だよ? ないんじゃない?」


ゴールデンウィークが終わったばかりの平日にイベントがあるとは思えなくて、そう返した。


「でも、さっきからすごい台数の車が通ってるんだ」


圭太に言われて私と麻子は窓辺に移動した。
3階から街の様子を見てみると、あちこちに自衛隊の車が出ているのがわかった。
迷彩柄の車は、街の中ではよく目立つ。


「そう言えば、ユカリを保健室に送っていったときも見たかも」


あのときはそれほど気にしていなかったけれど、あちこちに止まっている自衛隊の車を見るとなにかあったんじゃないかと気になってくる。


「イベントは特になかったと思うけど……」


イベント好きでよくチェックしている麻子も首をかしげている。


「じゃあ、なにかあったのかな? 事件とか、自然災害とか?」

「それにしては俺たちにはなにも連絡が来てないよな」


私の考えに圭太が答える。