秘薬を飲んだ者は強烈な快楽に溺れ、精神依存を形成し秘薬が手放せなくなってしまう。
 しかも服用をやめた時の禁断症状が酷いため、肉体的に秘薬を欲する身体依存を引き起こす。

 この秘薬を量産し、貴族たちに売れば、巨万の富を得られる──と、フライタークは思い付いたのである。

 秘薬の原料は、モーンという花になる実から出る液体だという。
 フライタークは大金を払って秘薬のレシピを手に入れた後、「プフランツェ」で販売する花を育てるという名目で自国に種子を持ち帰る。
 そして農場を作り、そこでモーンの栽培を開始したのだ。

 フライタークは秘薬の量産に成功すると、まず手始めに貧民街でその効果を試すことにした。

 秘薬の効果は絶大で、一度その味を知った者は、秘薬を手に入れようと躍起になった。それこそ他人の生命を奪ってまで、秘薬を手に入れようとするほどに。

 その様子を皮肉って、フライタークは秘薬を生命の水──”アクア・ヴィテ”と名付けた。

 しかし、”アクア・ヴィテ”が完成しても、フライタークの欲望は止まらない。