フライタークの言葉には、”どうしてその店を潰さなかったのか?”という意味が込められている、とバラバノフは理解する。

「その店に圧力を掛けようと試みはしたのですが……っ! 花を自分で生産しているらしく、流通ルートを断てなかった上、店がある区画一帯の警備が強化されており、手を打つことが出来ず……」

「ならば他にやりようがあったのでは? 貴方はちゃんと頭を使って考えたのですか? その女主人を懐柔するとか、いくらでも方法はあったでしょう?」

「そ、それは……っ!」

「職務怠慢ですね。せっかく製菓部門の売上が好調だと言うのに……。生花部門がこのザマだとは」

 フライタークがため息交じりに呟いた。
 その様子を見たバラバノフは恐怖に震え上がり、必死にフライタークに懇願する。

「も、申し訳ありません!! もう一度チャンスを下さい!! あの店を! 『ブルーメ』を必ず潰してみせます!!」

 バラバノフの必死な様子に、フライタークはもう一度ため息をついた。