確かに、私はジルさんやヘルムフリートさん、フィリベルトさんにディーステル伯爵のように、優しくて威張らない貴族の人もいるのだと知っている。
だけど、普通の平民はそんな高位の貴族と接する機会が殆どないのだ。
なのに接する機会がある貴族の爵位は大抵低位で、しかもそんな貴族は大概傲慢だったりする。
「あの、よろしければ中にお入り下さい。お時間があるのでしたら、お茶をお出ししますけど……」
「ああ、すまない。そうして貰えると有り難い」
「アンさん、実はもう一人いるんだけど……良いかな?」
ヘルムフリートさんはそう言うと、後ろの方にいたのだろう、ローブをすっぽり被っている人を連れて来た。
「はい? もちろん私は構いませんけど」
断る理由がなかった私はあっさりと了承する。
ジルさんやヘルムフリートさんと一緒にいる人なのだから、少なくとも危険人物では無いだろうし。
「了承いただけて良かったわ。私、見るからに怪しいから、断られただどうしようって思っていたの」
「……へ?」
ローブで顔を隠していたから、きっと訳ありだろうな、と思っていたその人から聞こえてきたのは、若い女性の声で。
「アンさん、初めまして。私フロレンティーナと申します」
そう言ってローブを脱いで自己紹介してくれた人の名前は、この国の王女殿下と同じ名前だった。
だけど、普通の平民はそんな高位の貴族と接する機会が殆どないのだ。
なのに接する機会がある貴族の爵位は大抵低位で、しかもそんな貴族は大概傲慢だったりする。
「あの、よろしければ中にお入り下さい。お時間があるのでしたら、お茶をお出ししますけど……」
「ああ、すまない。そうして貰えると有り難い」
「アンさん、実はもう一人いるんだけど……良いかな?」
ヘルムフリートさんはそう言うと、後ろの方にいたのだろう、ローブをすっぽり被っている人を連れて来た。
「はい? もちろん私は構いませんけど」
断る理由がなかった私はあっさりと了承する。
ジルさんやヘルムフリートさんと一緒にいる人なのだから、少なくとも危険人物では無いだろうし。
「了承いただけて良かったわ。私、見るからに怪しいから、断られただどうしようって思っていたの」
「……へ?」
ローブで顔を隠していたから、きっと訳ありだろうな、と思っていたその人から聞こえてきたのは、若い女性の声で。
「アンさん、初めまして。私フロレンティーナと申します」
そう言ってローブを脱いで自己紹介してくれた人の名前は、この国の王女殿下と同じ名前だった。