緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長

 ヘルムフリートさんは初めてかもしれないけれど、ジルさんにはすでに何回も……というか、来てくれる度にプレッツヒェンをお出ししているので、さすがに飽きているのではないか、と思う。

「む。アンが作ったものはいつも美味いし、絶対に飽きたりしない」

 私の心を読み取ったかのようにジルさんが言ってくれるので、何だかとても恥ずかしい。

「……っ! あ、有難うございます……っ!」

 思わず照れてしまった私だけれど、今は恥ずかしがっている場合じゃないと気を取り直す。

「えっと、それで今日はどの様なご用件で?」

 婚約式の花のことで、何か要望があるのかな?

「そうそう、本題を忘れるところだったよ。遅くなったけど、この店に設置するための防犯用の魔道具を持ってきたんだ」

 ヘルムフリートさんはそう言うと、机の上に木の箱を置いた。