ヴェルナーさんはニコニコと笑顔を浮かべてとても嬉しそうだ。そんなにプレッツヒェンを気に入って貰えるとは思わなかった。
 伯爵家で頂いたデザートはとても綺麗で美味しかったけど、たまには素朴な味のものが欲しくなる的なアレなのかもしれない。

「今日はいい日だなぁ。アンちゃんの着飾った姿も見られたし」

「あ、それは……その、お姉様方が頑張って下さったので……」

「うん、姉ちゃんたちも良い仕事してくれたなって。アンちゃん、とても綺麗だった」

 改めてヴェルナーさんに褒められた私は、またもや顔が赤くなってしまう。
 今まで自分の容姿に無頓着だったし、こうして褒められることなんてなかったので、どう反応すればいいのか未だによくわからない。

「……あ、有難うございます……っ」

「……でも──」

 思わず俯いてしまったものの、何とかお礼を言った私に、ヴェルナーさんが何かを言い掛けた。

 何だろう、と思いながら顔を上げた私の目に映ったのは、

「──俺はお店で働いている時のアンちゃんの笑顔が、一番綺麗だと思うよ」

 そう言って微笑みながらも、真剣な目をしたヴェルナーさんだった。