「アンちゃんお疲れ様。妹が無理を言ってごめんね。フィーネはどう? 迷惑かけてない?」

「お兄様! お帰りなさいませ。わたくし、迷惑など掛けておりませんわ! 一生懸命頑張りましたわ!」

「ごめんごめん! フィーネはがんばり屋さんだもんな。えらいえらい」

「もー! 子供扱いはやめてくださいまし!」

 ヴェルナーさんとフィーネちゃんのじゃれ合う様子にほっこりとする。一日の疲れが洗われるよう……!

「ふふ、フィーネちゃん、とっても頑張ってくれましたよ。お陰様で仕事も楽でしたし」

 私の言葉にフィーネちゃんが胸を張り、ヴェルナーさんに威張っている。

「そうか、フィーネは偉いなぁ。アンちゃん有難う。うちの両親もすごく感謝しているんだ。良かったらまた家に招待させて欲しいんだけど、どうかな?」

「えっ?! 私がですか?!」

「それは素敵ですわ! お姉様たちもアンさんにお会いしたいと申しておりましたし! 是非お越しください! ねっ?!」

「え……あ、うん」

 私はフィーネちゃんの期待する目と押しの強さに、思わず肯定の返事をしてしまう。

「わぁ! 嬉しいです! お姉様たちも喜びますわ!」

 もちろん、私は貴族のお屋敷に行ったことなんて無いので、作法なんて全くわからない。
 だけどフィーネちゃんとヴェルナーさんのご家族だし、多少の粗相は大目に見てくれるだろうと、覚悟を決めることにした。