「久しぶり~。アンちゃん相変わらず可愛いね」

「……いらっしゃいませ。今日はどのような花束を?」

「ええー! アンちゃん冷たい! しばらく来なかったから拗ねてるの? 可愛いなぁ」

 この騎士団員さんの名前はヴェルナーさんと言って、お店に来たらいつもこうして私をからかってくるのだ。

「しばらく魔物の討伐で遠征しててさ。ようやく帰って来れたんだよ」

 ヴェルナーさんの言葉に、そう言えばお客さんがそんな噂をしていたな、と思い出す。

「それはお疲れさまでした。国を守っていただき有難うございます?」

「アンちゃん他人行儀過ぎない? それになんで疑問形なのさ!」

 ヴェルナーさんが悲しそうな顔をするけれど、この人はいつもこんな調子なので相手にしない。

「……で、今日はどの花にしますか? 女性の雰囲気はどんな感じで?」

「ああ、えっと、今日は可憐な感じで作って貰おうかな」

「わかりました。では少々お待ち下さい」

 私は店内を見渡して、どんな花を組み合わせようか考える。