二人から笑顔でお礼を言われ、それだけでもう報われたような気持ちになってしまう。美形の笑顔はプライスレスなのだ。

「例のご両親から送られた球根ってまだ残ってる?」

「あ、はい。あまり数は多くありませんけど。ちょっとお待ち下さいね」

 私は手袋をすると花の種や球根などを保管している棚から、マイグレックヒェンの球根を入れている籠を取り出した。

 ジルさんは球根を興味深そうに眺めている。

「どれどれ……」

 ヘルムフリートさんが球根に触れる寸前、指と球根の間に魔法陣が出現し”バチッ!!”と何かを弾く音がした。

「ひえっ?!」

 以前ヘルムフリートさんが言っていた身体防御の術式が発動したのだろう。意外と大きな音がして、思わず変な声が出てしまう。

「大丈夫か?」

「うん、平気。……やっぱり球根の状態だと毒があるみたいだね」

 慌てた私と違って、ジルさんとヘルムフリートさんはとても冷静で、予想通りといった感じだ。

「アンがこの球根を植える手順を見せて欲しい。お願いできないだろうか」

「えっ?! あ、はい! 大丈夫ですよ」