麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑧/発熱の果実たち、迷宮へ…!

赤い巣、リバース!/その18
祥子



「祥子さん…」

「ああ、静美、大丈夫だ。もう少し様子を見よう」

「はい…」

私は横に座っている静美に顔を近寄せ、小声でそう告げた

それにしても、ドッグスが半ば穏便に出戻りを迎え入れられた直後、こんな急転直下の状況に一変するとは…

「そうよ!本郷が南玉に戻ったら、みんなで潰しちゃえばいいのよ!リンチよ!」

「その通り!」

もうみんなの感情は収まるところを忘れたかのようだった

あのバランスのとれた冷静な高津さんまで、あそこまでの激しい言葉を発したくらいだ

だがどうだ…

鬱積していた麻衣への怒りに完全に火がつき、場内は騒然とした中でも総長の合田は至って落ち着いてるぞ

そして、恵川の過激極まる発言のあと、合田は本田に発言を求めた

えっ?

もしかして狂犬さん、それってことかよ!


...


そうか…、わかったわ

合田は圧倒的反対多数を承知で、あえて先に賛否を突き付けんだ

さらに、麻衣へのうっ憤、憎しみ、怒り全部を吐き出させた

それはまるで一線を越えさせるために、背中を押すがごとくの誘導だった

出戻りを許した私達が、”その場”に立会ってることも計算して…

そして、極めつけで言質を取った

”もし戻ったら”と言う仮定のもと、リンチだ半殺しにしてやると…

麻衣と一種、”向き合う”このとの姿勢を垣間見せた彼女らの言葉…

おそらく合田は最後の採決に於いて、これを”伏線”に据える腹だ

...


議長としての合田は、反対意見は出尽くしたところで、本田と横田、そして自分自身、賛成・態度保留3人による言葉をここで発するという、インパクトヒッティングでの絵を描いていたんだ

何しろ横田と合田は麻衣と命のやり取りに近い修羅場を演じた当事者だし、本田にしても、”それ”の極めてディープな目撃者だ

要は麻衣を語る言葉の重みが、みんなとは違ってくる

実際、今の本田の言葉…、胸に届くものがあったしな

それを、あの狂犬は周到に計算して議事をしたたかに進めているんだ…!

恐るべし、赤い狂犬…