麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑧/発熱の果実たち、迷宮へ…!

赤い巣、リバース!/その13
多美代



予想はしてたけど…

さすがにここまでとは…

おけいと目を合わせると、参ったなって訴えてきたわ

さあ、どうするか…

何しろ総長だ

こうもストレートに議案をモロだししたら、反感は目に見えてるよ

それを折り込んでだとしたら、一体、どういう意図からなんだろうか…

私は議長席の荒子総長に目をやった

総長、落ち着いてる…

で…、隣の恵川先輩は険しい表情だ

これは…


...


場内はさっきとは異質の険悪なトーンでざわついてるよ

「…総長、お願いです!本郷なんかの復帰、翻意して下さい!」

「本郷なんかが戻って来たら、私、南玉にいられません!アイツはやくざを利用して合田総長を拉致して拘束して、それで金属バットで…。そんな悪魔のような所業も平然とできちゃう狂った女となんか、一緒にやっていけますか!うっ、うっ…」

「そうですよ、総長!考え直して下さい!あんな野郎を復帰させたら、今度こそ南玉は滅びます!ヤツにはあれほどひどい目に遭わされて、総長の考えが理解できません!」

「私も納得できません!本郷なんか‥、どうしてなんですか!」

凄まじいばかりだ…

さっきまでの空気はもう完全にぶっ飛び、もうみんな、クラッシュ寸前だよ

泣き出すものまで出てきて…

危険だ…

...


「…みんな、よく言ってくれた。私が本郷麻衣を戻すと口にして、どんな反応だかは、まずこの選択に出た私にとっては最重要だったから。その上でだ…、ヤツの南玉復帰を議案に出した理由の前に、この時点での賛否を正確に把握させてくれ。本郷麻衣を戻すことに反対の者は、遠慮一切無用だから、勢いよく手を上げてくれ!」

「はい!」

「反対!」

「私も!」

「絶対反対です!」

反対者は23人だった…

「では、この段階で賛成はどうだ…」

賛成は2人…

荒子総長とおけいだった

「よし…。では、今の段階では棄権、賛否留保はいるか!」

「はい!」

賛否留保の挙手は一人…

その一人は私だった

さあ、このあと、総長はどう収拾に持っていくんだ

私の心臓はバクついていたよ…