麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑧/発熱の果実たち、迷宮へ…!

赤い巣、リバース!/その9
祥子



「やあ、津波さん、しばらく…」

「総長さん、この度はどうも…。もう足、大丈夫なんすか?」

「おかげで、昨日から杖を放したわ。そっちのボスの方は、指、どんな加減かな?」

「まあ、包帯はまだ取れてませんが、快方に向かってるようです」

ハハハ…

畳に座って、なんちゅう挨拶交わしてんだってとこだ

南玉のみんな、あっけにとられてるって

さあ、ここからは流れに任せるしかねーよ

変な細工はなしで、”ありのまま”行く…


...


「…という訳で、木戸さんからはドッグスを返すって申し出があってね。今、あんたらの復帰について、議論してた。まあ、今までのいきさつがあるからさ。正直、感情的にもあんたらのことは簡単にリセットできない。そこで、いろいろ話を聞きたいんだが、まずは、仮にドッグス復帰がこの場で承認されたとしてら、おたくら、戻る気あるのかな?」

「はい、復帰が許されるんであれば、喜んで戻りたいです」

「それは津波さん一人の意見じゃなく、旧ドッグスメンバーの総意として受け取っていいのか?」

「ええ。この新村には昨日、各メンバーの意見を集約させました。ここでOKが出れば、北田久美を除いた全員がドッグスとして南玉に復帰する意向です」

「わかった…。では、いろいろ聞くよ。もうそっちサイドとは一切ケリが付いたという解釈なんでね、その上でってことで答えてくれ」

「了解しました」

「いきなりだが、単刀直入に行くぞ。津波…、あんたなら、キャビネットの旗に結集するグループ複数を仕切る手腕があると見てる。本郷や岩本あたりは、そのくらいの起用を考えていたはずだ。そっちに回る気はなかったのか?」

「実は昨日、麻衣からも同じようなこと、ぶつけられましたよ。私はポストや兵隊の数なんかより、刺激的な仲間たちと思いっきり暴れたい…。そっちを選びたいと。すなわち、可能であれば素敵な猛女たちの巣窟に戻って、私たちが潰しかけたこの南玉連合を、あんた達と一緒に再建していきたい旨を伝えましてね…」

いやあ…、我ながら表裏なしで、そのまんまをぶちまけちゃったわ(苦笑)

で…、みんなの反応はどうだ

...


まあ、こんなところだろうや

調子いいことぬかしやがってって目で見てるよ、大半は

はは…

でも…、それ以外の感触もあるかな…

「おたく、実に豪快な人だな。自分たちがぶっ壊そうとしてたのに、こんな少人数になったボロボロの南玉を立て直すって、それ、同情か気まぐれかどっちかになるだろーが?」

「これは、私が人質となったの場でも口にしたことだが、私が…、いや私達がぶっ壊したいという感情に駆られた南玉はもう完全に消えちまいましたよ。…それは、女性勢力の先駆けだって自負から生じた、あなた達自身の驕りがもたらした矛盾という垢に染まってた南玉連合ですよ。だが、今ここにいる26人には、その垢がきれいさっぱりなんでねえ‥」

さあ、これでどうだ!

どう出る…

ああ…、これ、麻衣の受け売りになっちゃったか(笑)