麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑧/発熱の果実たち、迷宮へ…!

赤い巣、リバース!/その8
祥子


静美のヤツ…

さっきからさかんに腕時計見たり、指鳴らしたり…

ソワソワして落ち着きないや

まあ、緊張してるんだろう

...


「祥子さん、そろそろっすかね?」

「ああ、中からパチパチパチは聞こえなくなったからな。そろそろディープな議案に入ったってことだろ。時期、お呼びがかかるさ」

「ええ…」

静美には今日の全部を見せるつもりだ

コイツには別に発言とかを求める気はない

あらかじめ、そう言ってはあるんだが…

それでも、これだもんなあ…

性格だわ、やっぱ(苦笑)

ガラガラガラ…

そうこうしてたら、中から誰かが出てきたな

さあ、出番だ…


...


「お二人さん、お待たせ…。中へ入ろう」

「ああ、お願します」

私が静美に合図すると、コイツ、すっくと立ち上がって髪に手を当てて、心の準備を計ってるようだった

私達は”迎え”に先導され、会場内に向かった

その先導役は鬼軍曹だったわ

恵川か…

この人、火の玉川原の現場には顔出さなかったが、引き続き狂犬の片腕のポストをキープしたようだ

もう一人の木戸さんはポイ捨てされたのに、なかなかだな、この鬼軍曹は(苦笑)


...


「ええと、あそこに腰を下ろして。発言は座ったままでいいってことだから…」

「はい…」

座敷か…

ふふ…、こりゃ風情があっていいや

私は指定された、議長席の正面に静美と共に腰を下ろした

会場内をひと通り見回し、人数を数えてみた

まあ、OB・OGもいないし、淋しい限りだが、よくここまでのメンバーが残ったよってのが実感だよ

第一、私は黒沼高襲撃で南玉が分裂して、翌日で間違いなく崩壊すると思ってたから

それを救った立役者はと…

ああ、いたいた…

横田競子ね

はは…、カモシカちゃん、やっぱりどう見てもフツーの女子高生だって(笑)