麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑧/発熱の果実たち、迷宮へ…!

赤い巣、リバース!/その5
ケイコ



ここまでは絵に描いたようにスムーズだったけど…

そろそろ激論の場に移って行くだろうね

「…では、各校側の人員だが、これは当面、今いる1年”全員”を充てたい」

ザワザワザワ…

わあ…、一瞬で会場内はざわついたわ

「…ここで質問を受け付けても、みんなの口から出ることは分かり切ってるから、先に答えるよ。二派に分けて各校側に一年全員ってことにすれば、もう一方の走りの部隊はゼロなのかって誰が見たってそういうことになる。で、その答えはだけど…、ここにいいるメンバーでは当面ゼロで行こうと思ってる」

「えー…!」

「ゼロって…」

ざわめきはこんなつぶやきを伴って、当然ながら荒子総長の耳にも届いてるよね

さて、総長、どういうふうに持って行くかな…

...


「…これから以後、都県境の界隈は新しいフレームへと徐々にシフトしていく。今まで敵対していた各集団とも緩やかな共生を根っこにして…。だが、一丁コトあれば、なんだかんだ言っても力で対抗できる備えは絶対不可欠となる。これは紅組が発足された当時からの基本ポリシーであり、我々も常に鉄則としていたよな」

ここは肝でもあるよ

紅組は常に”そこ”を怠らないことで、女性集団の独立性を担保してきたから

それこそ、一貫して…

「…だからこそ、実戦部隊は常時欠かせない一方で、女性勢力の核となって行くべき南玉としては、とってつけたような部隊編成じゃあ意味をなさないと考えるべきだと思うんだよ。…従って、仮に今回のような戦いに直面した場合、どんな相手にでも対抗できる実力集団にしたいんだ。それも即…」

「…荒子、いいかな?」

ここで高津先輩が挙手した

どうやら今の総長の説明に対して質問をぶつけるようだ

...


「今の荒子の説明はよく理解できるわ。じゃあ、端的に聞くけど、ここにいるメンバー以外で即戦力としての部隊に”アテ”があるのね?」

「ああ…。これから提案して、みんなに判断してもらおうと思ってる。その前に、走りの方を監督する二年幹部を決めたい。これはもう、いづみしかいない。これを先に決とりたいんだ」

恵川先輩の名が荒子総長の口から飛び出すと、席上ではクスッと言ったこぼれ笑いが複数から漏れたわ

でもこれは、嘲笑ではないと思うよ

「賛成!」

「異議なし!いづみが適任よ!」

案の定、”いづみしかしない”の荒子さんの提案は、全会一致で採決された

さあ、この次はドッグスの議案に移るぞ…