麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑧/発熱の果実たち、迷宮へ…!

赤い巣、リバース!/その4
多美代



おおー、全会一致でおけいが正式に南玉メンバーに加わったぞ!

私は思いっきり拍手しながら、心ん中では”ブラボー!ウェルカム!”と絶叫していたわ、はは…

「じゃあ、ケイちゃん、一言どうぞ」

荒子総長、嬉しそうだ

無論、みんなも嬉しいに決まってる

待望の人材がこんな時期に参陣してくれたんだもん(笑)


...


「ええ…、滝が丘高校の1年、横田競子です。皆さん…、ひとつ、よろしくお願いいたします…」

パチパチパチ…

ハハハ…

おけいらしいや…、この何とも淡白な挨拶

あれほどド派手な前代未聞の南玉加入宣言劇をやってのけた人物ともあろう者が…、これだもんなあ…(苦笑)

「横田さん、よく来てくれたよ!アンタみたいな子が南玉に加盟してくれれば普通の女の子がどどっと押し寄せる。ホント、よろしくなあ…」

わー、恵川先輩がおけいの前まで駆け寄って、両手を握りしめてる…

しかも、サプライズのあの口上…

いやー、みんな口をあんぐりさせてるよ(苦笑)

と思ったら…

パチパチパチ…

「恵川先輩の言うとおり!」

「横田さん、ようこそ南玉へー!」

何と、全員席から立ち上がり拍手喝采と歓迎のエール連呼だ

うん、いわゆるスタンディングオーベーションだわ、これ…


...


おけいの南玉加入承認で、会場内は否応なく士気が高まり、なんともいい空気に包まれた中で会議はさらに進んだ

荒子総長は、一連の再編闘争は収束したとの見解を宣言した

その中で、本郷から手の指を”獲った”コトを席上で告げた時は、大きな拍手が沸き上がってね

ここで全員がようやく溜飲を下げ、一応、みんなが抱えていた悔しさはここで解消されたと思う

総長は”その感触”を感じ取ったようで、一呼吸置くと声のトーンを変えて、これからの南玉が歩むべき道筋に触れ、新生南玉連合の組織再編プランの骨子説明に入った

柱となる二派分けの方針については、事前にメンバーもだいたいは周知していたので、構成人員は1年で固め、その上に幹部を敷くプランを含め、異議を唱える意見は皆無で可決されたわ

さて、この後は人事配置になるぞ


...


「…まずは各校側だが、ここは先程メンバーに加わったばかりだが、横田競子をリーダーのポストに据えたい。個人的にこの子とは、彼女が小学生の頃から紅組の集会で顔を合わせている仲でね、ピュアでフェア、おまけにタフで一途な文句なしの逸材だってことは紅子さんもよく口にしてた。で、どうかな?」

「異議なし!」

「新入でも横田さんなら適任だわ!」

「私も賛成です!私たち惜しげもなくは協力していくわ!」

おお、またもや文句なしの可決だ

あん?

おけいが立ち上がろうとすると、総長は右手でまだだよってシグナル送ってる…

...


「…次にリーダーを支えるサブは二人置こうと思う。その任には本田と冴木。それに彼女らを総括する監督ポストに高津のん子…。では、3人を一括で諮りたい」

「異議なし!」(全員)

なんと、ここで全会一致で超スピード結審だった

私達3人に加え、おけいも一緒に起立し、一礼を済ませた

ここまではポンポンと何の問題もなく進んだが…

問題はここからだわ…