麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑧/発熱の果実たち、迷宮へ…!

赤い巣、リバース!/その2
ケイコ


始まった…!

総勢26人か…

随分と減ってしまった気がするが、早くも会場内は熱気にあふれていたよ

ここにいる人たちは組織崩壊のピンチを、それぞれが乗り越えたんだ

皆、新たな門出を迎え、私が言うのもおこがましいが、全員いい表情してるよ

...

「では、会議を始めよう。今日はみんな、ご苦労様。まず最初に私からは謝罪だ…」

そう言うが早いか、荒子さんは勢いよく席から立ち上がった

「…今回は私が間抜けだったため、敵にふん捕まり、とんだ迷惑を掛けてしまったよ。みんな、申し訳ない。この通りです!」

荒子総長は深々と頭を下げていた

「総長、やめてください!」

「あなたは犠牲者です。理不尽な汚い手段を使ったのは奴らなんです!」

会場内からは主に1年のメンバー何人もから声が上がって、数人が目頭を押さえていた

「…皆が許してくれるのなら、この後もトップとして、南玉連合の再建にまい進していきたいと思う」

「お願いします!」

「残ったここにいるメンバーみんなで、頑張ります!総長、私たちを引っ張って行ってください!」

「うん…、みんな、ありがとう。一緒にこの南玉連合を頼むよ…」

パチパチパチ…

ここで拍手が起こると、荒子さんは口を真一文字にしてから、会場内のみんなの顔をゆっくり見回した

それは、全員が拍手をしながら総長に視線を送っているから、一人ずつアイコンタクトを交わしていることになる

私も総長からは5、6M近く離れた場所で視線を交わし合った

変な表現だが荒子総長には、この場のメンバー全員と杯を改めて交わしたという意味があるんだろう

...


このあと、議長を務める荒子総長から今回の再編を巡った一連の闘争について、経緯の説明と総括が語られた

「…今後は、我々が置かれた諸情勢を正確に、しっかりと踏まえた上で再建にかかる。が、それは同時に今回相まみえた諸勢力とも共存していくスタンスを築き、新たなフレームを創造することを忘れることなく、今までのおごりを捨て、謙虚な心構えを持ち、かつ都県境の女性勢力の主軸を担っていく気構えを維持しながら突き進む!」

「異議なし!」

「みんなで邁進しましょう!」

パチパチパチ…

私は拍手しながら斜め正面の多美と目を合わせた

アイツの両目からは涙が溢れていたよ

南玉をこよなく愛し、中学生のころから赤い狂犬にあこがれ続け、この春から同じ高校で最側近として疾走してきた本田多美代…

彼女が今抱く胸中を察すると胸が熱くなるよ