麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑧/発熱の果実たち、迷宮へ…!

赤い巣、リバース!/その1
ケイコ


さあ…、いよいよ南玉の集会だ

私はU駅近くのバス停に着き、大きく深呼吸をしていた

すると、おなじみのハスキーなデカい声が私の背中に届いてね

「よう、おけい!」

「ああ、多美。悪いね、迎えに来てもらっちゃって…」

「いやいや、今日はよろしくな。っていうか、これからよろしくだな、はは…」

「こっちこそだよ。いろいろ頼むよ、多美」

私達は雑踏の中で笑い声を上げながら、改めてお近づきの挨拶を交わし合ったよ

それは、私達流の儀式ってとこだったかな…


...


夕方6時10分前…

多美の運転する単車の後ろに乗っかって、会場に到着だ

今日はU市内某自治会の公民館を借りることが出来たんで、その建物の広間が集会の会場となる

中へ入ると、畳8畳の続き間を解放したスペースに長テーブルを囲み、座談会スタイルでの会議場がすでに設置されていた

既に10数人が到着していて、多美は私を一人一人紹介してくれて、まずは挨拶まわりを始めていた

「おけい、総長が見えたわ。…総長、お疲れ様です」

「おう、お疲れ。ケイちゃんもよく来てくれた。今日はよろしくな」

「総長、本日はよろしくお願いいたします…」

荒子さん、松葉杖がとれたようだ


...


「今日の”次第”は、多美に概ね伝えてあるからよく確認しといてくれ。それと、”例の事案”は最後でメインディッシュだ。ガツンと持って行こうと思うからさ…、ケイちゃんにもフォロー願うと思う。そのつもりでいてな」

荒子さんはちょっと笑いながら、私の肩をポンと叩いて議長席に向かった

やや足を引きずってはいるが、痛々しさは全く感じられないよ

うーん…、やっぱりオーラもギンギンだし、こういう場だと映えるなあ(苦笑)

...

「…まあ、こんな運びになってる。ドッグス復帰を発議した時点で津波が中へ入って情状の説明になるだろう。採決はその後ってことで、それが済んだらいよいよラストの本郷議案だな」

「わかった。先日申し合せの通りで私もガツンと行くから、多美もよろしくな」

「了解だ。ここまで来たら、何が何でも本郷をこっちに引っ張り込んでやる。そんで、南玉の中でガンガンだ…!」

多美もその気になってくれてたようだ