ネオフレーム/その10
多美代
「はは…、まあ、こっちはどっしり構えていこうよ。荒子さんが今日、ベッツで大目付と県外勢力の”承認”を取り付けたんだからさ。麻衣も今までみたいなメチャクチャやったら、黒原さんにこってりシバかれるって」
「まあ、そうだな。あの野郎、少しはおとなしくなれってんだよな、いいかげんさ…」
「それでさ、荒子さんは今度の総会では、黒原・波沢ラインのお墨付きを掲げてでも麻衣とドッグスを戻すハラだけど、多美…。実際、他の1年はどうなのかな…。麻衣に対しての感情は、当然怒り心頭なのはわかってるけど」
「うん、この件は総長から地ならしを頼まれてたからね、私。でもよう、はっきり言って大反対だよ、みんな。特に冴木ひとみなんかは総集会の時の因縁もあって、本郷拒否をみんなに呼びかけてるわ。おそらく総会の場ではさ、本郷とドッグスの復帰断固反対で突き付けると思う」
「やっぱり、そうなるよね。で、荒子さんが今日ベッツで得た”錦の御旗”を出した際は、どうなるだろうか…」
「いやあ、どうだかな。総長には今の話、そのまま伝えてるから、その上でって対応に出るんだろうが…。実際にさえなんかは、いざとなったら脱退するって言いだすかもな」
「そこまでもあり得るのか…。でも、仮にそうなったら、この後ずっとその禍根を引きずって、最悪、内紛に至るよね」
「そうだよなあ…。総長はどこまで考えてるのか…、突っ込んだところは話してくれないけど、脱退者が出てまで本郷&ドッグスの出戻りを強行採決したら、さすがに揉めるわ。ああ、また憂鬱になってきた…。だいたい、あんな辞め方して南玉潰しにかかったクソ野郎が、どのツラ下げてカムバックってんだよ!はあ~~~、ヤツのことを考えるとよう、頭がクラクラしてくるよ…」
...
私はもう興奮しきっていたが、受話器の向こう側のおけいは至って冷静だったよ
「…多美、じゃあ、お前の正直なところ聞かせてくれるか?会議の場でさ、荒子総長が麻衣らのカムバックを強行するとする。それを冴木さんらが断固反対、脱退辞さずって展開で紛糾したら…。多美はどんな姿勢に出るつもりだ?」
「わかんないよ、まだ。でもさ、私は何しろ脱退者が出てまで本郷なんかを戻すことには反対だよ。一方で、総長の意向は尊重する気持ちも強い。何と言っても、学校で麻衣が骨を差し出した壮絶な現場をこの眼で見届けてるからね、そこでの二人のやり取りを…。ふう…、それは言ってみりゃ、命を懸けた者同士の確約だった訳だしね。当然ながら、その合意は言いようもない重いものだよ。最も、総長は南玉メンバーの承認を条件にしてはいたけど…」
「よし!ならさ、この議案で紛糾したら、多美、お前は”その時”のことをみんなに話せばいい!ありのままで。そんで、多美の今私に言った気持ちも明かすんだ」
はー?
おけいって、いつも、いきなり来るんだよな…(苦笑)
多美代
「はは…、まあ、こっちはどっしり構えていこうよ。荒子さんが今日、ベッツで大目付と県外勢力の”承認”を取り付けたんだからさ。麻衣も今までみたいなメチャクチャやったら、黒原さんにこってりシバかれるって」
「まあ、そうだな。あの野郎、少しはおとなしくなれってんだよな、いいかげんさ…」
「それでさ、荒子さんは今度の総会では、黒原・波沢ラインのお墨付きを掲げてでも麻衣とドッグスを戻すハラだけど、多美…。実際、他の1年はどうなのかな…。麻衣に対しての感情は、当然怒り心頭なのはわかってるけど」
「うん、この件は総長から地ならしを頼まれてたからね、私。でもよう、はっきり言って大反対だよ、みんな。特に冴木ひとみなんかは総集会の時の因縁もあって、本郷拒否をみんなに呼びかけてるわ。おそらく総会の場ではさ、本郷とドッグスの復帰断固反対で突き付けると思う」
「やっぱり、そうなるよね。で、荒子さんが今日ベッツで得た”錦の御旗”を出した際は、どうなるだろうか…」
「いやあ、どうだかな。総長には今の話、そのまま伝えてるから、その上でって対応に出るんだろうが…。実際にさえなんかは、いざとなったら脱退するって言いだすかもな」
「そこまでもあり得るのか…。でも、仮にそうなったら、この後ずっとその禍根を引きずって、最悪、内紛に至るよね」
「そうだよなあ…。総長はどこまで考えてるのか…、突っ込んだところは話してくれないけど、脱退者が出てまで本郷&ドッグスの出戻りを強行採決したら、さすがに揉めるわ。ああ、また憂鬱になってきた…。だいたい、あんな辞め方して南玉潰しにかかったクソ野郎が、どのツラ下げてカムバックってんだよ!はあ~~~、ヤツのことを考えるとよう、頭がクラクラしてくるよ…」
...
私はもう興奮しきっていたが、受話器の向こう側のおけいは至って冷静だったよ
「…多美、じゃあ、お前の正直なところ聞かせてくれるか?会議の場でさ、荒子総長が麻衣らのカムバックを強行するとする。それを冴木さんらが断固反対、脱退辞さずって展開で紛糾したら…。多美はどんな姿勢に出るつもりだ?」
「わかんないよ、まだ。でもさ、私は何しろ脱退者が出てまで本郷なんかを戻すことには反対だよ。一方で、総長の意向は尊重する気持ちも強い。何と言っても、学校で麻衣が骨を差し出した壮絶な現場をこの眼で見届けてるからね、そこでの二人のやり取りを…。ふう…、それは言ってみりゃ、命を懸けた者同士の確約だった訳だしね。当然ながら、その合意は言いようもない重いものだよ。最も、総長は南玉メンバーの承認を条件にしてはいたけど…」
「よし!ならさ、この議案で紛糾したら、多美、お前は”その時”のことをみんなに話せばいい!ありのままで。そんで、多美の今私に言った気持ちも明かすんだ」
はー?
おけいって、いつも、いきなり来るんだよな…(苦笑)



