ネオフレーム/その9
ケイコ
ベッツから帰った夜、相川先輩と多美から電話が入った
二人とも、荒子総長から今日の件を聞いて、私に連絡をしてくれたようだ
...
「…あの黒原さんが正直、ここまで骨を折ってくれるとは思ってなかったかな。でも、ホント胸をなでおろしてるよ。黒原・波沢ラインが荒子の新生南玉路線を”公認”してくれたのなら、本郷や岩本だって、そう乱暴なマネはできないしね。都県境には新しい秩序ができるわ。紅子さんも亜咲も達美も安心すると思うよ」
相川さんは感慨深そうな口調で、心の底からホッとしてる様子が伝わってきたよ
「先輩も本当にご苦労さまでした」
「ううん。結局、ケイコに重たいバトンを渡しちゃったのよね、私達。ふう…、できればあなたには本郷と関わらせたくなかった…」
先輩…
「でも…、本当にいいの?本郷を再び迎え入れて。なんか、あなたたち二人が南玉で一緒なんて、危険だと思うんだけど…。やっぱり不安だよ」
先輩は私のことを真剣に慮ってくれてる…
...
「先輩、ヤツとはむしろ南玉の中での方が”安全”ですよ。私たちは今後、喧々諤々でやり合っていくでしょう。でも、ある意味、日々のガス抜きができるってことです。一応、組織の枠内ですから一定のルールに縛られ、周囲の監視も機能する訳ですし。大丈夫です。安心してください」
「そう…。私にはもう何もできないから…。ゴメンね、ケイコ」
相川先輩は終始、私のこと気にかけてくれてた
この人は、都県境最大規模に膨らんだ南玉連合の常に中心に身を置き、全身全霊を捧げてきたんだ
エライよ
先輩、長い間、お疲れ様でした…
...
「…そうか。荒子さんは来年の春にはキッパリ引退、OGとしての関与も一切固辞するって考えなのか…」
「ああ。総長からは、そのつもりでお前達が他の1年を引っ張って行けって気合入れられててね。でも今回でその役目、おけいとも一緒にってことになって、正直助かった。お前がいてくれれば力強いわ。はは…」
「でも、責任が重いよね。今日、黒原さんからもコツコツと説かれたけど、今回の再編成では実質、墨東会を女性勢力の体制下に組み込んだ構図になるんだから、しっかりしないとってね。何か事ある時は、ここ都県境では女が男をリードする立場になるんだぞって。まあ、私も気合入れられたわ」
「うーん、いよいよもって、文字通り赤塗りの実践者として、女性集団の軸となる南玉を私たちがけん引していかなきゃならない訳か…。ふう、なんか急に重責がのしかかってきたわ。ましてや、まだ正式決定ではないにしろ、あの本郷とまた南玉でツラ突き合わせなきゃなんないんだもんな…。気が重くなってきたわ」
さすがの多美も、麻衣の復帰後を考えると、心中穏やかとはいかないようだ
ケイコ
ベッツから帰った夜、相川先輩と多美から電話が入った
二人とも、荒子総長から今日の件を聞いて、私に連絡をしてくれたようだ
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「…あの黒原さんが正直、ここまで骨を折ってくれるとは思ってなかったかな。でも、ホント胸をなでおろしてるよ。黒原・波沢ラインが荒子の新生南玉路線を”公認”してくれたのなら、本郷や岩本だって、そう乱暴なマネはできないしね。都県境には新しい秩序ができるわ。紅子さんも亜咲も達美も安心すると思うよ」
相川さんは感慨深そうな口調で、心の底からホッとしてる様子が伝わってきたよ
「先輩も本当にご苦労さまでした」
「ううん。結局、ケイコに重たいバトンを渡しちゃったのよね、私達。ふう…、できればあなたには本郷と関わらせたくなかった…」
先輩…
「でも…、本当にいいの?本郷を再び迎え入れて。なんか、あなたたち二人が南玉で一緒なんて、危険だと思うんだけど…。やっぱり不安だよ」
先輩は私のことを真剣に慮ってくれてる…
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「先輩、ヤツとはむしろ南玉の中での方が”安全”ですよ。私たちは今後、喧々諤々でやり合っていくでしょう。でも、ある意味、日々のガス抜きができるってことです。一応、組織の枠内ですから一定のルールに縛られ、周囲の監視も機能する訳ですし。大丈夫です。安心してください」
「そう…。私にはもう何もできないから…。ゴメンね、ケイコ」
相川先輩は終始、私のこと気にかけてくれてた
この人は、都県境最大規模に膨らんだ南玉連合の常に中心に身を置き、全身全霊を捧げてきたんだ
エライよ
先輩、長い間、お疲れ様でした…
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「…そうか。荒子さんは来年の春にはキッパリ引退、OGとしての関与も一切固辞するって考えなのか…」
「ああ。総長からは、そのつもりでお前達が他の1年を引っ張って行けって気合入れられててね。でも今回でその役目、おけいとも一緒にってことになって、正直助かった。お前がいてくれれば力強いわ。はは…」
「でも、責任が重いよね。今日、黒原さんからもコツコツと説かれたけど、今回の再編成では実質、墨東会を女性勢力の体制下に組み込んだ構図になるんだから、しっかりしないとってね。何か事ある時は、ここ都県境では女が男をリードする立場になるんだぞって。まあ、私も気合入れられたわ」
「うーん、いよいよもって、文字通り赤塗りの実践者として、女性集団の軸となる南玉を私たちがけん引していかなきゃならない訳か…。ふう、なんか急に重責がのしかかってきたわ。ましてや、まだ正式決定ではないにしろ、あの本郷とまた南玉でツラ突き合わせなきゃなんないんだもんな…。気が重くなってきたわ」
さすがの多美も、麻衣の復帰後を考えると、心中穏やかとはいかないようだ



