ネオフレーム/その7
ケイコ
「…まあそれはさ、ついこの間、星流会の後押しを受けていた砂垣順二が仕切る墨東会を、相馬豹子こと本郷麻衣が分捕っちまったよね。諸星会長の手駒だった砂垣順二を追放してさ。奴らからしたら、それを元に戻すってことを言わば大儀にして、まずはガキ世界の干渉から相馬豹一亡き後の相和会に揺さぶりをかけるって算段でさ。この図式は過去にも何度かあったし。でさ…、順二なりを、また送り込んでくるんじゃねーかってね」
「でも、これからは墨東会だって、我々赤塗り勢力と連帯の立場をとってくれると思いますが…」
まさにそうだ
今、荒子総長が描いている構想では、今回ぶつかり合った全勢力が。緩やかな共存関係を保っていく仕組みを骨格としてるんだもん
「…だからね、今回の再編騒動のとっかかりが再燃するとしても、”次回”奴らを迎え撃つのは墨東会を包括した赤塗り勢力だよ。つまり、これからあんた達が構築する女たちの連携勢力が、まさに前面に立たざるを得ない。いいか、荒子。これからの作業は、そこを見据えて行かないと…。私の考えすぎかもしれないが…」
「はい…」
荒子さん、また隣の私にチラッと視線を送ってきた…
...
3人は雑談のスタンスなんだが、その話題はディープ極まりなかったよ
「…もともとこの都県境はね、従来からガキ世界への関与に色気を出していた星流会の諸星会長を、黒原盛弘がやくざモン承知でけん制できていた。盛くんの死後はさ、星流会のおっぺす順二が墨東会を仕切ってやくざどもの介入を許したが、紅丸有紀の存在が女性勢力の名のもとに、最後の一線だけは奴らに決して越えさせなかったんだよ。その陰では、相馬豹一の率いる相和会が、星流会に睨みを利かせていた事実もあったけどね」
「…」
荒子さんも私もくんくん頷きながら、黒原さんの説明に聞き入っていた
「…この春、その紅ちゃんがいなくなったらさ、案の条、性懲りもなく諸星のバックをしっかり背負って順二がカムバックしてきたよな。そんで、都県境の女子勢力再編と連動した、最初に言った展開に至った…」
これらの流れは私達も漠然とは周知ってとこだけど、ここまで整理されて聞かされるとまさに目からから鱗だったよ
ここで、私は黒原さんに言わば念押しをした
「その”次回”が、相和会会長である相馬豹一が逝去した後だろうというんですね?そして相馬さん自身、それを読み込んでいると…」
「うん…、そうなると思うね。そこで相馬さんは、あなたと麻衣にそこまで関与していった先に何を見ているのかってね…」
「黒原さん…、相馬会長は”その時”を、”1年後”と想定していると…。そう言っていました」
「…」
あえて私はここで明言した
どうせなら、今から覚悟しておきたいよ
私が麻衣と行き着くところまで到達した先に、一体ぜんたい、何が待ち受けているのかを…
たとえ、おぼろげながらでもさ
ケイコ
「…まあそれはさ、ついこの間、星流会の後押しを受けていた砂垣順二が仕切る墨東会を、相馬豹子こと本郷麻衣が分捕っちまったよね。諸星会長の手駒だった砂垣順二を追放してさ。奴らからしたら、それを元に戻すってことを言わば大儀にして、まずはガキ世界の干渉から相馬豹一亡き後の相和会に揺さぶりをかけるって算段でさ。この図式は過去にも何度かあったし。でさ…、順二なりを、また送り込んでくるんじゃねーかってね」
「でも、これからは墨東会だって、我々赤塗り勢力と連帯の立場をとってくれると思いますが…」
まさにそうだ
今、荒子総長が描いている構想では、今回ぶつかり合った全勢力が。緩やかな共存関係を保っていく仕組みを骨格としてるんだもん
「…だからね、今回の再編騒動のとっかかりが再燃するとしても、”次回”奴らを迎え撃つのは墨東会を包括した赤塗り勢力だよ。つまり、これからあんた達が構築する女たちの連携勢力が、まさに前面に立たざるを得ない。いいか、荒子。これからの作業は、そこを見据えて行かないと…。私の考えすぎかもしれないが…」
「はい…」
荒子さん、また隣の私にチラッと視線を送ってきた…
...
3人は雑談のスタンスなんだが、その話題はディープ極まりなかったよ
「…もともとこの都県境はね、従来からガキ世界への関与に色気を出していた星流会の諸星会長を、黒原盛弘がやくざモン承知でけん制できていた。盛くんの死後はさ、星流会のおっぺす順二が墨東会を仕切ってやくざどもの介入を許したが、紅丸有紀の存在が女性勢力の名のもとに、最後の一線だけは奴らに決して越えさせなかったんだよ。その陰では、相馬豹一の率いる相和会が、星流会に睨みを利かせていた事実もあったけどね」
「…」
荒子さんも私もくんくん頷きながら、黒原さんの説明に聞き入っていた
「…この春、その紅ちゃんがいなくなったらさ、案の条、性懲りもなく諸星のバックをしっかり背負って順二がカムバックしてきたよな。そんで、都県境の女子勢力再編と連動した、最初に言った展開に至った…」
これらの流れは私達も漠然とは周知ってとこだけど、ここまで整理されて聞かされるとまさに目からから鱗だったよ
ここで、私は黒原さんに言わば念押しをした
「その”次回”が、相和会会長である相馬豹一が逝去した後だろうというんですね?そして相馬さん自身、それを読み込んでいると…」
「うん…、そうなると思うね。そこで相馬さんは、あなたと麻衣にそこまで関与していった先に何を見ているのかってね…」
「黒原さん…、相馬会長は”その時”を、”1年後”と想定していると…。そう言っていました」
「…」
あえて私はここで明言した
どうせなら、今から覚悟しておきたいよ
私が麻衣と行き着くところまで到達した先に、一体ぜんたい、何が待ち受けているのかを…
たとえ、おぼろげながらでもさ



