ネオフレーム/その2
ケイコ


「…この子はこの春高校に上がった1年坊で、南玉にはついこの間加わったばかりの新入りです。でもですよ…。先日の火の玉川原では、現実として南玉を壊滅から救ってくれたし、それ以前にも墨東会の砂垣に頭を下げさせたことで、南玉の危機を回避させた実績があります。何より、私もよく承知していることですが、あの紅子さんが以前からケイちゃんを高く評価していました」

ここで私に向かった荒子さん、笑顔を見せた

失礼ながら、変なスマイルだったかな…(苦笑)

...


「…まして、これからは”普通”の女子中高生とフラットで接していく必要性が欠かせません。この役を、真の意味で全うできるのはこの子しかいないと思うんっすがね…」

こんな間近かでダイレクトにこうまで言われると、なんとも気恥ずかしい限りだよ(苦笑)

「うん、適任だろうよ、この子なら。1年の集団を横田さんが仕切って、それを2年の幹部が見守ってあげれば何も問題はないさ」

「私もグッドアイディアだと思うわ」

ありゃあ…、もう”決まり”だわ、これ…


...


そして次は走りの部隊ってことになったんだけど…

「それで、走りの方のメンツはどうすんだい?」

吹子さんはここでもダイレクトだった

「はあ…、今回でレッドドッグスが丸ごと抜けたんで、本来ならバイク乗れる子を全部を持っていって、当面繕い、同時に外部から順次迎え入れるってのが無難なんでしょうが、ここはあえて、安易なメンツで埋め合わせはしたくないんです。何と言ったって、今回のようにコトが勃発となれば、どうしてもどこともやり合える実戦部隊が不可欠です。ですから、走りの部隊はバイクの腕、ケンカの腕を最優先して別枠で再構築する。で…、現有1年のメンバーは全員各校側に配属するつもりです」

「じゃあ、走りのセクションは、当面ゼロってこと?」

「そっちの方はまず恵川いづみを総括に置く他は、メンバーゼロでスタートさせます。ただ、実戦部隊の力量を持った候補は考えています」

「荒子…、それってもしかして…、アレか!」

黒原さんがタバコを咥えながら、ニヤリと笑ったわ

どうやら察しがついたようだよ

「吹子さん、見当がついてるんですか?」

波沢さんは、隣に座ってる黒原さんを覗き込むように尋ねた

「ふふ…、荒子は骨折り仲間を戻すつもりのようだよ。違うか?荒子‥」

「いえ。おっしゃる通りです。ただし、これは本郷から懇願されたことです。それと、レッドドッグスも一緒にってことです」

「えー?ちょっと…、合田さん、いくら何でもそれって、いいの、あなた…」

湘南のリーダー、波沢さんは、さすがに戸惑っている様子だった…