レイラが王立図書館で、推理小説の棚の次の本に手を出した。

ぶ厚い本を開くと、レイラの瞳と同じ色の青い封筒が挟み込まれていた。



(また来たわ。犯人ってこの人ではないかしら)



ルーカスと犯人を捜すと約束したレイラには、実はすぐに殺しに来そうな人に心当たりがあった。

ルーカスのお隣暮らしを始めてから、よく届く異常な熱量の手紙があるのだ。



(いつも差出人がわからないから放っておいたけれど、ルーカス様にお知らせした方がいいかもしれないわ)



綺麗過ぎる人形令嬢などと揶揄されることが多いレイラだ。だが、その貴族としては完璧な情緒管理である美貌の真顔には根強いファンも多い。ファンですと告げる手紙が来ることも多々あった。


だが、本に挟まれて届くこの青色の封筒だけは異質だ。正当なルートを通らず、レイラの手に直接届けたいという意思が宿っている。


レイラは一冊読むとその隣にある次の本と、選ばずに淡々と読み進めていく。レイラを普段からよく見ている人には、次にレイラがどの本を読むのか容易に予想できる。


こうやって次の本に直接挟まれて届く手紙は「あなたをずっと見ています」と、案に告げているようなものなのだ。