レイラはそっと両腕を広げて、ルーカスの頭を優しく抱き寄せた。あふれる愛しさに身体が動いてしまう。


「れ、レイラ?」


ルーカスとうまく会話ができたことなど一つもない。婚約破棄だって決まっている。だが、ルーカスがレイラを想って歪んだ顔を魅せてくれたことが、とにもかくにも今、愛おしい。


(こんな誠実な人がループしていると言うならば、それは信じるべきことですわ。私がルーカス様の仰ることを疑うことすらおこがましいことでした)



レイラはルーカスの頭を胸に押し付けて抱きしめた。ルーカスの黒髪の香りをいっぱい嗅いで、レイラは幸せに浸った。



「レイラ、その、胸が……」

(ルーカス様のためならば、何でもしたいですわ)



レイラはルーカスのために一日一文を生成した。すらりと出た言葉に、伝えたい衝動が溢れていた。



「一緒に、犯人を捜しませんか」