寝る前の沈黙お座り、奇妙な同室寝の花嫁修業は毎日続いていた。


(私、いつ死んでも全く悔いがないわ)


なぜかルーカスと毎日たくさん一緒にいられて幸せいっぱいのレイラは、頬を持ち上げてニヤニヤしてしまってはしたない!と己を叱咤していた。


だが、実際は何の表情もないので非常に無駄な叱咤である。レイラは無表情で王城内に併設されている王立図書館で読書に勤しんでいた。


実家の公爵家で過ごしていた時は、馬車で週に一度通う必要のあった王立図書館だ。だが、王城に越して来たので毎日通える。


夜はルーカスと過ごせて、日中は大好きな読書に浸る毎日にレイラは上機嫌だった。



「レイラ様は今日も怒っておられるわ」

「それはそうよ、あんなに毎日足しげく通われては身体が持たないわ」

「ルーカス様はお下手でいらっしゃるのかもしれないわね」

「わあ、それは悲惨だ!」

「毎日ご本を読んでおられても、まるで楽しそうじゃないもの」



レイラが図書館で本を選び、読む間、入口で待ちに徹する侍女たちはコソコソ話に花を咲かせる。レイラ専属の護衛騎士アイザックも楽しそうに噂話に混じっている。


(え?!まさか犯人が!こんなことってあるの?!)


全く楽しそうではないと言われるレイラであったが、大当たりの推理小説にずっぷりハマって大興奮しているのであった。