朝を迎え、真っ白な身体のあちこちに、薄い桃色の傷跡をつけたレイラは支度を整えてルーカスの前に現れた。


ルーカスが手を差し出すと、真顔のレイラは手を重ねた。


「どこか体の調子が悪いところはあるか?」


ルーカスはイエスノー質問を繰り出す。


調子はどうかと聞けば答えを伝えづらいからだ。首を振ったレイラだが、首筋をとんとんと指で示す。


そこには傷跡の花が咲いていて、ルーカスは眉を顰めて耳を赤くした。身体は大丈夫だけれど、傷が残っていると伝わってきた。


「以後、見えない場所にするよう気をつける」


真顔のレイラだが、口角がルーカスにわかる程度2㎜だけ上がった。妻の機嫌は良さそうだ。


二人は手を取り合って、ルーカスの部屋に用意された遅い朝食を食べに歩いて行く。部屋の前に待機していたアイザックにルーカスが声をかけた。



「アイザック、成功報酬は後日支払う。今日はもう帰って良いぞ」

「ありがとうご、ざいました……」