「ルーカスの隣を、任せたよ。美人の義妹がいると、外交が捗るんだ。


これからたくさん働いてもらうからね!」


じゃあ楽しんで、とウィリアムは背を向けて去って行った。


(これは、大成功だったのではないでしょうか!)


ウィリアムとの挨拶を乗り切ったレイラがあからさまにホッとしたのを、ルーカスだけが読み取った。腰をしっかり抱き直して、レイラの耳元でルーカスが囁く。


「そろそろ、二人になりたい」


新婚初夜を期待するレイラの耳先だけは、正直に赤くなった。レイラがルーカスの小指をきゅっと握ると、ルーカスが照れくさそうに微笑む。


ルーカスの低くて甘い声がレイラの耳奥をくすぐった。



「俺も、愛してる」

(わ、わ私の命日は今夜で間違いありませんわ……!)



ふにゃふにゃになって冗談でそう思ったレイラだが、初めてレイラが死んだ日は、たしかに今夜だった。