ウィリアムはルーカスの肩をパンパンと力強く手の平で叩いて、きっぱりした声で宣言した。


「今回、全部丸く収めてくれたレイラ嬢に、ルーカスの隣をお任せするよ!」

「それって」

「婚約破棄なーし!」


ウィリアムが元気に顔の前で両腕を交差させて、バッテンをつくる。

レイナに婚約破棄を突きつけていたウィリアムが、前言撤回を述べた。


「ありがとうございます、兄様!」


ルーカスは両拳を握りしめて喜びを噛みしめる。うんうんとご機嫌に頷くウィリアムがワクワクの止まらない早口をまくしたてた。


「さあ、ルーカスの結婚はいつにする?!派手にパーティしなくちゃね!僕が取り仕切っちゃおーっと!

聖なる夜に重ねちゃえば盛り上がっていいんじゃない?!

あ、リカルド君も呼んじゃうか!楽しそうー!」


パーティ好きのウィリアムがとんとん話を進めていく。ルーカスは記憶にないほど久方ぶりに、兄の前で大笑いしてしまった。