テーブルの上に両手を組んで置き、ルーカスは息を整える。



今まで愚鈍でモジモジやっていたせいで「あの悲劇」が起こったのだ。今回は、なりふり構わないと決めてきた。



「レイラ、信じられないかもしれないが聞いて欲しい」



ルーカスは深い紫色の瞳をくっきり開いて、レイラの肩を見ていた。



若干目線が合わないルーカスの神妙な声に、レイラは耳を澄ませる。昨日今日で改まって出される話題などこれしかない。



(こ、婚約破棄のお話ですね……)



レイラが婚約破棄を突き付けられる絶望に眉間に皺を寄せた!つもりだったが、真正の真顔だ。


ルーカスはレイラの肩を見つめて、告白した。一世一代の告白だ。聞いてください。



「実は俺は、この一年を過ごすのが3回目だ」

(ん?)


レイラの顔をまっすぐ見られないルーカスには気づけなかったが、さすがのレイラも瞬きが増えた。



「この一年以内に、君は何者かに殺されて死んでしまう」

(え?)

「君が死んで、俺は昨日の聖なる夜に時が戻るという時間を繰り返している。


俺はループしているんだ」


(る、ルーカス様はお疲れで、おかしくなってしまわれたのかしら?それとも冗談、いえ、冗談の方がありえないわ。


だってルーカス様ですもの)