初めてレイラの部屋でルーカスと共に朝食を取りながら、初恋が実った昨夜を数えきれないほどに回想してはレイラは頭の中で爆発していた。


(ルーカス様と気持ちが通じるなんて嘘みたい嘘みたい嘘みたいですわぁあ!)


事実上の婚約破棄問題は解決していないのに、死のうと思っていたことなどもう地平線の彼方である。これぞ愛の力。


昨夜、泣きまくって働き過ぎたレイラの表情筋は無期長期旅行に出かけたようで頑固な真顔だ。だが、ルーカスはほんの僅かな表情の変化を見落とさない超常スキルを身につけ始めた。


表情筋はまるで動いていないが、レイラの瞳が左右に動く幅が通常より大きいことを感知する。

ルーカスはレイラを見つめてうっとりと微笑む。


(ルーカス様、そんな優しい顔をして、なんてお可愛らしい!!)

(レイラの顔がはにかんでいる、なんて可愛いんだ)


朝食の席で、無言で見つめ合うだけでお互いに照れが湧く。だが、お互いに目を軽く逸らしてはまた見つめ合って照れるを永遠に続けている。