だが、レイラが必死で紡いだ言葉はウィリアムが何千何万と紡ぐ言葉の前に無価値だ。あまりにも軽く流される。


「でも、もう遅いよ。タラタラやってた自分を恨みなよ。


僕の命令に口挟むなら……」


レイラが掴んだ服の裾を振り払ったウィリアムが、涙と共に懇願するレイラを冷たく見下した。


「消えてもらうから」


固く冷ややかなその言葉にレイラが息の根を止められたところで、レイラの視界を大きな手が塞いだ。


その優しい手が誰のものかすぐに理解したレイラは、はらはら落ちる涙の速度が上がってしまった。


「兄様、レイラが泣いてますのでそのくらいで」