レイラは喉に石を詰められたように息ができなくなる。顔から血の気が引いた。まさしくレイラがこの世で最も恐れていたことだった。


「だいたい前のパーティからさ、王太子の僕が話しかけてるのにだんまりって、どういうことかわかってる?」


ウィリアムが話せば話すほど、レイラの口からは言葉が遠ざかる。口はもはやただの飾りだ。



「僕だから咎めなかっただけで、相手が諸外国の親善大使だったらどうする気?


外交問題だよ。綺麗な顔だけで乗り切れると思ってる?」



ウィリアムは淡々と優しい口調で現実に起こり得る問題を並べ、レイラの喉を締めつける。


「そんな甘くないよ。第二王子の隣はね」


弱点を極度に抉られて、レイラの脳天から目の前がグラグラ揺れていた。