「とにかく俺は多忙で自由に動けなくなる。王族の責務だ」

「レイラ様の死亡予定日が迫ってるって言うのに、タイミング最悪の迷惑なお兄さんですね」

「仕方ない。そのためにお前がいる」


レイラの死の予定日が近づき、ルーカスは緊張が高まる。アイザックは告白しろというが、その前にレイラが死んでしまっては意味がない。ルーカスは死の回避に焦点を絞る。



「いいか、何度も言うが

1度目は次の聖なる夜のパーティの後。

2度目は今日のパーティの後、ひと月後に

レイラは死んでしまっている。


死因は、刺殺だ」


ルーカスの脳裏に真っ白の美しい顔をして、首を割かれて血に染まるレイラが浮かぶ。その姿を思えば、何度でも冷たい汗が背を伝う。


「目を離すなよ、アイザック」

「御意です」


アイザックが緊張した面持ちで頷く。アイザックを信用するしかない。

ルーカスはさらに、これから降りかかる兄の命令を思うと憂鬱だった。


過去2度同じ命令を与えられ、レイラの死までに碌な対応をできたことがないからだ。