ルーカスは安易に二人の話を信じていたことを悔いた。ルーカスはウィリアムほど人を疑ったり、利用したりすることができない。堅物温情派だ。そこが魅力であり瑕である。正座させられたままのアイザックが語った。


「レイラ様が、ルーカス様の隣にいて恥ずかしくない淑女になりたいっていうので」

「俺の隣?」

「ベル様と協力して社交術改善訓練をしてたんですよ」

「そ、そうなのか?」


ルーカスの予想とは全く別の答えが返って来て、ルーカスは瞬きを忘れた。眉間に寄った海溝はすっかり平地だ。他の男と浮気どころか、ルーカスのためにレイラは変わる努力をしてくれたという。


ベルがツインテールをゆらゆらご機嫌に揺らして、今日のパーティをふり返る。


「今日のお姉様、輝いていらっしゃったわよね!大人気間違いなし!」

「ただ美しいだけじゃないレイラ様の人気は急上昇でしょうね」