嫉妬で視界が狭かったルーカスはレイラの異常に気付くのが遅れてしまったことを恥じる。


声が出なかったが、レイラの背に手を添えて中庭へと誘導しようとした。


だが、パーティ会場を出ようとした二人の前に影が立ちふさがる。



「久しぶりルーカス!レイラ嬢!」



颯爽と登場した王太子ウィリアムに、ルーカスとレイラは血の気が引いた。


マジで今、一番出て来て欲しくなかった相手だった。

一番イヤなタイミングで、一番イヤなことをしてくる。

それが長兄、ウィリアムだ。



「なんか今日はレイラ嬢とお喋りできるってみんな湧いてるね。まさか僕と話さないまま帰るとかないよね?」


声は死んでて嫉妬に狂って冷静じゃないルーカスと、お喋り前借りの副作用で失神寸前のレイラ。

ルーカスもレイラも瀕死状態、からのラスボスである。