頭を抱えるアイザックの横で、真顔のレイラが胸の前で両手を組んで握り合わせた。


ルーカスはレイラの所作を見逃さず、不安にさせたと痛感した。レイラを支えるべきこんな日に、こんな体たらくの男はフラれても文句は言えないだろう。


ルーカスがしょんぼり眉を下げる。


「ずま”ない”」

(なんてお可哀想なルーカス様。そんな声になるまで不調に気がつかなかった私にも責任がありますわ。私はいつも自分のことばかりですもの……)


レイラは首を大きく振った。侍女たちが慌てて喉に良いお茶などを淹れ、医者を呼んで薬もルーカスに飲ませたが時すでに遅し。

ソファに座って喉を撫でるルーカスを見つめたレイラは覚悟を決めた。


(このパーティ、私が、私がルーカス様をお支えしますわ!!)


前途多難の大ハードル行事が始まった。