ルーカスが悶々と嫉妬で喉を痛めているうちに、ついに王太子帰還パーティの日がやってきた。


頭のてっぺんからつま先まで煌びやかの頂点に着飾ったレイラを見た侍女たちが、次々に卒倒する事件が相次いでいた。


(今日こそ!練習の成果を発揮いたしますわ!!)


レイラは今日のパーティにやる気満々で備えている。ルーカスの深い紫色の瞳をイメージしたドレスに、シルバーの髪が耽美に映える。


豊かな髪を結いあげてうなじを晒し、絢爛なティアラを飾れば、完全無欠の美女の完成だ。


「今日は夜も俺が護衛しますので、安心してください。ばっちり綺麗ですよ!」


レイラが鏡の中の自分を緊張して見つめていると、背後に立っているアイザックが親指をぐっと上げてくれる。アイザックは空気を読むというものすごい特技を持っている。


アイザックに頷きを返して深呼吸していると、誠実なノックの後に正装で身を固めたルーカスが迎えに参上した。


(いつ見ても正装は素敵ですわぁ!!ルーカス様の魅力が500倍ですわ!)


レイラが内心キャッキャしていると眉が5㎜下がり、口角が5㎜上がる。


ルーカスは瞬きを増やしてレイラの表情の変化に食い入った。レイラの感情表現が非常にわかりやすかったからだ。