夜中に医者を呼び、大騒ぎしたルーカスだったが、診断は「寝てるだけ」であった。


ルーカスはびしょ濡れのまま、翌朝、レイラが目覚めるまで一睡もしなかった。

死に顔まで綺麗なレイラの寝顔は当然美しく、端麗過ぎて、ルーカスは怖くなってしまった。このまま、また目覚めないのではと。


(あら?私、いつの間に寝てしまったのかしら)

「レイラ!大丈夫か、心配した。目が覚めて良かった」


ベッド脇でレイラの手を握り締めたまま、情けない眉をするルーカスがレイラの寝起きの視界を支配した。

レイラは一晩眠ってすっきり目覚めただけだが、ルーカスはレイラの手をぎゅうぎゅう握って額に押し当てた。


(夢みたいな光景ですわ。ルーカス様はなんてお可愛らしいのでしょうか)

「良かった、君が無事で」


心底安堵したルーカスだったが、その日からレイラがこてんと突然寝てしまうことが続くようになった。