毎日無言で過ごしていた夜のソファタイムに、レイラが書いてくれた日記に対して口頭で返事をするようになったのだ。


そうすると一方的に、話題が尽きない。


日記に書いたことに口頭で返答されるのは、実は書いた方からすると気恥ずかしいことであるとルーカスは気づかなかった。だが真摯に検討した結果であるルーカスの対応をレイラは喜んで受け入れた。


レイラは何度もコクンと頷いて、ほんの数ミリ単位で眉を下げたり口角を上げたりしてくれる。


彼女がこんなにたくさんのサインを発していることに今まで気づかなかった自分を後悔したルーカスは、過去の自分の首を締めたい想いでいっぱいである。


交換日記や筆談を通して以前よりは格段に意思疎通が図れるようになってきた二人の間の、最近の話題はこれ一色だった。


「王太子帰還の定例パーティか」