アイザックはそんな二人のキューピッドでもやってやるかと、可愛らしい喫茶店に足を踏み入れた。男が一人で入るような場所ではないが、アイザックがよく女の子たちを連れてくる場所だ。


「あれ、アイザック今日は一人なの?」

「ちょっとね」


アイザックは顔見知りの店員にウインクして、後から入って来る二人の席を指示する。


せっかく手伝ってやるんだから盗聴くらいしたい。


彼らの様子が伺い聞こえるカウンター席にアイザックは陣取った。すでにどっちが尾行かわかったものではない。


「何あの人、え?本当に人なのってくらい綺麗なんだけど?」

「生きてる?人形じゃない?」

「キレー過ぎるー」


ルーカスとのお出かけが嬉しくて嬉しくて輝く美貌を隠しきれないレイラが入店すると、喫茶店の誰もが彼女に釘付けになった。ルーカスも見目麗しい部類であるが、尾行用にきちんと王族オーラは隠している。


だが、レイラはもう生来の輝きが計り知れない。しかも箱入り娘だ。誰もが認める美を隠す技術などどこにもない。


「レイラ、歩き疲れただろう。何を頼もうか?」